少ない手持ち部品で多くの試験を行うためのTips
基板の試作を行う際に,往々にして抵抗値やコンデンサ容量などを変化させて最適な特性を得ます。 だからといって,E12/E24系列すべての値を揃えるのはコストの面から難しいときが多いです。
そこで,1.0,2.2,4.7の3種類を組み合わせてE12系列を再現できないか計算してみました。
今回はチップ部品(surface mount device,SMD)において,チップ単体,もしくは2個並列,2個直列を実装の条件としています。 ただし,SMDを使用する際に極力実装しやすいよう,直列よりも並列での組み合わせで再現できるようにしました。 無論,リード部品であっても可能です。
まずは,抵抗から。
E12系列 | 合成抵抗値 | 抵抗の組み合わせ |
---|---|---|
1.0 | 1.00 | 1.0単体 |
1.2 | 1.22 | 1.0+0.22 |
1.5 | 1.50 | 2.2//4.7 |
1.8 | 1.80 | 2.2//10 |
2.2 | 2.20 | 2.2単体 |
2.7 | 2.67 | 2.2+0.47 |
3.3 | 3.20 | 4.7//10 |
3.9 | 3.87 | 4.7//22 |
4.7 | 4.70 | 4.7単体 |
5.6 | 5.70 | 1+4.7 |
6.8 | 6.88 | 10//22 |
8.2 | 8.25 | 10//47 |
表中の//は並列接続を,+は直列接続を意味します。
[例]
1.2kΩを得たい : 1.0kΩと220Ωとを直列接続
1.8kΩを得たい : 2.2kΩと10kΩとを並列接続
等比数列*1とE12系列,そして合成抵抗値をプロットすると次のようになります。
次に,コンデンサです。コンデンサは抵抗のときと直並列時の合成値計算が異なるため,組み合わせを少し変えました。
E12系列 | 合成容量値 | コンデンサの組み合わせ |
---|---|---|
1.0 | 1.00 | 1.0単体 |
1.2 | 1.22 | 1.0//0.22 |
1.5 | 1.47 | 1.0//0.47 |
1.8 | 1.80 | 2.2//10 |
2.2 | 2.20 | 2.2単体 |
2.7 | 2.67 | 2.2//0.47 |
3.3 | 3.20 | 1.0//2.2 |
3.9 | 3.87 | 4.7+22 |
4.7 | 4.70 | 4.7単体 |
5.6 | 5.70 | 1.0//4.7 |
6.8 | 6.90 | 2.2//4.7 |
8.2 | 8.25 | 10+47 |
表中の//は並列接続を,+は直列接続を意味します。
等比数列とE12系列,そして合成容量値をプロットすると次のようになります。
これら図から,抵抗もコンデンサも,1.0,2.2,4.7の合成によってE12系列を再現できるといえます。 E24系列の再現は難しいですが,この表を使うことで,手持ちの部品点数を抑えたまま多くの試験を行うことができます。
*1:そもそもE12系列は,1から10までの1桁を,隣り合う値同士の比が等しくなるように12等分したもの